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夢枕獏の文体のガイドライン

199 :水先案名無い人:2005/06/19(日) 23:54:08 ID:pUsQh90F0
その女は、美里優のまえにぬうっと立っていた。
メイド服。エプロン。
その姿に、見覚えがあった。
「あんたは―――」
「優さんだね」
どうというふうもなく、女がふり返った。
パンチも、蹴りも届かない距離。
だが、どちらかが一歩踏み込めば、攻撃がとどく。そういう危うい間合いであった。
何者!?
ふとい電流のような疑惑が、優の背中を駆け巡っていった。
「庭に立ち入ってしまったのは、すまないと思っているよ。なにしろ、紫陽花があまりきれいだったからねえ―――」
「ああ…」
にっこりと、花がふきこぼれるように、女がほほえんだ。
たまらぬ笑みであった。
「ヴェスパー家政婦斡旋所から来た。まほろという」
「!?」
「困ってるんだろう、優さん…」
ほとんど同時に、まほろが優の動きに合わせ、距離を詰めてゆく。
その、どの動きも、純白の鶴を見るようであった。
優は、とまどっている。
いや、とまどっているというよりも、警戒をしている。
バスでのあれを、見ているからだ。
「メイドになってやろうか」
「なに!?」
「このわたしが、あんたのメイドになってやろうと、こう言っているんだよ。なんなら、毎日背中を流してやったっていい」
「おれの、背中をか」
「あんたの、背中をだ」
「いいのか」
「おう」
そういうことになった。

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