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夢枕獏の文体のガイドライン

1 :水先案名無い人:2005/06/08(水) 23:51:04 ID:HdWJfha90
すぐにスレを立てた。
拳。
拳。
肘。
足。
肘。
踵。
指。
拳。
みごとな攻撃であった。

関連スレ
夢枕獏×板垣恵介【餓狼伝】23 板垣シェーダ
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/comic/1115364612/l50
【放置プレイ】夢枕獏 巻之五【続行中】
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1106812422/l50

541 :水先案名無い人:2005/07/15(金) 22:34:20 ID:NWY3V1z+0
凄い、絶叫であったという。
 人の声ではなかったという。
 その時、ちよちゃんの口から外に出てきたのは、人間の尊
厳であるとか、誇りであるとか、そういった、ひとりの人間が
他人の前で顔を伏せずに立っていることができる精神的な
支え──そういうものが、根こそぎ、崩れ去る声だった。
 これまで、美浜ちよという少女を突き動かしてきたもの。
 矜持。
 誇り。
 夢。
 理念。
 思想。
 感情。
 怒り。
 意志。
 そうゆうあらゆるものが、消え去ったのだ。
 あたしにはわかる。
 一度、そういう声をあげた人間は、もう二度と、自動車にの
ることはできない。もう、二度と、他人の目を見ることができ
ない。
 そういう悲鳴だ。


542 :水先案名無い人:2005/07/15(金) 22:34:52 ID:NWY3V1z+0
ちよちゃんが、これまでの人生で培ってきたものが、全て
崩壊してゆく時の悲鳴──音楽。
 それは、歌うように、ゆるやかにうねり、ひとつの旋律──
強弱をもって、響いた。
 最初は、もちろん、あらん限りの絶叫だ。
 しかし、その恐怖は、そこで終わらなかった。
 まだ続いた。
 まだ、ハンドルがまわってゆく。
 その、車体がこすれてゆく音は、誰の耳にも聞こえただろ
う。
 ちよちゃん自身の耳にも、ゆかり先生の耳にも。
 ちよちゃんは、直接座席に体を触れ合わせていたわけだ
から、自分自身の肉体で、その響きを感じたことだろう。

 ぐち、
 ぐち、
 みき、
 みき、
 ぐち、
 めき、
 みき、

 という、ゆっくりと車体が順々にへこんでゆく音。
 ジュースを飲み干した時、アルミの空缶を、体重をかけて
つぶしてみるとわかる。その時に聴こえてくるあの音に近い
音。しかし、もっと厚く、もっと大きい、車の車体部分が、てい
ねいにつぶされてゆく音。


543 :水先案名無い人:2005/07/15(金) 22:35:24 ID:NWY3V1z+0
それに、歌うようなちよちゃんの悲鳴。
 笛のように、高く細くなり──
 息を吸い込んで、また、火球のような、塊のような悲鳴を
吐き出す。
 その声。
 その音。
 その光景。
 そばにいるようにそれが聴こえる。
 手にとるように見える。
 一瞬、人は、その恐怖で、気が狂う。
 怪鳥のような声で、ちよちゃんは、一度か二度、悲鳴をあ
げている最中に笑い声をあげたはずだ。
 本当に恐ろしい時、人は笑うのだ。
 あたしは、そのことを知ってる。
 ゆかり車に乗った人間は、皆、そうなる。
 別荘に着いた時、ちよちゃんは、糞小便を垂れ流しなが
ら、涙をこぼし、よだれで服を汚して、低い声で笑っていたと
いう。


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